「イスって、何て数えるのが正しいのかな?」
ふとしたときに気になるけれど、あらためて聞かれると、意外と迷ってしまうテーマですよね。
ふつうは「一脚・二脚」と言いますが、ほかにも「一台」「一個」「一点」「一席」など、場面によっていろいろな数え方が登場します。
この記事では、イスの数え方を
・基本の数え方
・種類別の数え方
・お店や学校などシーン別の数え方
・子どもにも伝えやすいポイント
といった流れで、やさしく解説していきます。
日本語の助数詞は少しむずかしく感じることもありますが、考え方のポイントがわかると、一気にスッキリします。
日常会話はもちろん、PTAや仕事でイスの数を伝えるときにも役に立つ内容なので、ぜひリラックスしながら読んでみてくださいね。
目次
まず知りたい!イスをどう数える?やさしい基本ルール

まずは、どんなイスにも共通する「基本の数え方」から確認していきましょう。
日常生活でよく耳にする「脚」「台」「個」「点」「席」などの違いもあわせて整理します。
迷ったら「一脚・二脚」でOK|一般的な数え方の理由
イスを数えるとき、いちばん一般的で辞書にも載っている数え方が「一脚(いっきゃく)、二脚(にきゃく)、三脚(さんきゃく)」です。
ここでの「脚」は、イスの「あし」の本数ではなく、イスという種類の家具を数えるときの単位として使われています。
例えば、こんな言い方は自然です。
- ダイニングチェアを四脚そろえたいです。
- 会議室にイスを二十脚準備してください。
- 来客用のイスをあと三脚足しましょう。
「脚」と聞くと「イスのあしが4本だから?」と思いがちですが、
実際にはあしが1本のスツールや5本脚のオフィスチェアなども「一脚」と数えます。
つまり、脚の本数は関係なく、「イスという家具」そのものを数える言い方だと考えるとわかりやすいです。
ですので、
- 「イスの数え方がわからない…」
- 「どれを使うか迷う…」
というときは、「とりあえず脚で数えればOK」と覚えておくと安心です。
「個」「台」「点」でも正解?それぞれのニュアンスの違い
イスは「脚」以外でも、状況によってほかの助数詞が使われることがあります。
どれも完全な間違いではありませんが、ニュアンスが少しずつ違うので整理してみましょう。
「個(こ)」を使う場合
「個」は、形がはっきりしたものを数えるときの、とても広く使える助数詞です。
日常会話では、細かい違いを気にせずに「イス一個ある?」といったように、カジュアルな場面で使われることがあります。
ただし、丁寧な言い方・書き言葉としては「脚」や「台」の方が自然です。
ビジネスメールや案内文では、できるだけ「個」は避けた方が無難です。
「台(だい)」を使う場合
「台」は、もともと机・テーブル・機械・家電などを数えるときに使われる助数詞です。
イスの場合は、
- ソファのように大きめの家具
- 座椅子・リクライニングチェアなど、イスというより「装置」に近いイメージのもの
に対して「一台」と数えることがあります。
例:
「リクライニングソファを一台購入しました。」
「マッサージチェアを一台置いています。」
一般的なダイニングチェアなどにも「一台」と言ってしまう人もいますが、
自然なのはやはり「一脚」と「一台」の使い分けです。
「点(てん)」を使う場合
「点」は、商品や作品などを数えるときの助数詞です。
家具店や通販サイトで、商品一覧に「全〇〇点」などと表記されているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
イスに対しても「イスを10点仕入れました」のように使うことがあり、
「商品としてのイス」を数えるときの表現だとイメージするとわかりやすいです。
「席」と「脚」の違い|場所を数えるときのポイント
イスを数えるときに、もうひとつよく出てくるのが「席」です。
「席」は、家具としてのイスそのものではなく、「人が座る場所・座席」を数える言葉です。
例えば、レストランやホールでは次のような表現をします。
- こちらのお店は全30席です。
- 会場は100席ご用意しています。
この場合、「イス」という言葉は出てきませんが、
「座れる場所の数=席数」を数えているイメージです。
一方で、家具としてイスそのものを数える場合は、
- 折りたたみイスを50脚準備してください。
- 来客用のイスを4脚用意しています。
のように、「脚」を使うのが一般的です。
「席」=場所、「脚」=家具としてのイスと覚えておくと、混乱しにくくなります。
子どもに説明するときに役立つやさしい伝え方
子どもに「イスってどうやって数えるの?」と聞かれたとき、
むずかしい言葉を並べるよりも、イメージで伝えてあげるとスムーズです。
例えば、こんな説明の仕方があります。
- イスはね、「一脚、二脚」って数えるんだよ。
「脚」はイスのあしのことだけど、イス全体を数えるときにも使うんだよ。 - レストランみたいに「座る場所」を数えたいときは「席」を使うよ。
だから「30席あります」って言うんだよ。 - お店で商品として数えるときは「点」って書いてあることもあるよ。
「商品がいくつあるか」を数えているイメージだよ。
実際に家の中のイスを見ながら、
「これは何脚?」「ここは何席?」とクイズ形式で話してみると、
楽しみながら自然と身についていきます。
こんなときどうする?微妙なケースの数え方
イスの数え方で迷いやすいのが、次のような少し特殊なケースです。
- 飾りとして置いてある小さなイス
- 観葉植物を乗せるためのイス風の台
- ドール用のミニチュアチェア
このような場合も、基本的には「イスとして扱うなら脚、飾りや雑貨としてなら個」で考えると良いでしょう。
例:
- 玄関に小さなイスを一脚置いています。(実際に座れる・イスとして扱う)
- ドール用のイスを三個買いました。(雑貨・おもちゃとして扱う)
絶対の正解があるというよりは、「何として見ているか」によって使い分けるイメージです。
種類別|イスの正しい数え方まとめ(一覧でわかりやすく)
ここからは、イスの種類ごとに、一般的な数え方を整理していきます。
すべて暗記しなくても大丈夫ですが、よく出てくるものだけでも目を通しておくと安心です。
ベンチの数え方|「基」と「脚」はどう使い分ける?
公園や駅、待合室などにあるベンチは、状況によって数え方が少し変わります。
- 一般的な会話・説明:一台・一脚
- 設備として記録するとき:一基(いっき)
例えば、公園の設計図や施設の設備一覧では、
ベンチを「ベンチ3基」のように数えることがあります。
これは、ベンチを「設備」としてとらえたときの数え方です。
一方、日常会話では、
- 「あそこのベンチを三台新しくしました。」
- 「ベンチをもう一脚増やしてほしい。」
のように「台」や「脚」で数えても自然です。
公園や施設の案内板などでは「基」、ふだんの会話では「台」や「脚」と覚えておくとよいでしょう。
パイプ椅子・折りたたみ椅子|イベント現場での数え方
運動会・入学式・説明会などで大活躍するパイプ椅子・折りたたみ椅子。
この場合も、基本は「一脚、二脚」です。
学校やホールでも、
- 「パイプ椅子を50脚並べてください。」
- 「予備のイスを10脚用意しておきましょう。」
という言い方がよく使われます。
折りたたんで収納されている状態でも、数えるときの単位は変わりません。
「折りたたみの状態かどうか」ではなく、「イスという家具かどうか」で考えると覚えやすいです。
ダイニングチェア|家庭でよく使うカジュアルな数え方
食卓まわりに置くダイニングチェアも、基本は「脚」で数えます。
- イスを四脚セットで購入しました。
- ダイニングチェアを二脚買い足す予定です。
家の中で家族同士が話すときには、
「イスもう一個ある?」のように「個」を使うこともありますが、
商品説明やブログ記事などでは、「脚」で統一した方が丁寧で読みやすい表現になります。
オフィスチェア|なぜ「脚」で数えることが多いの?
キャスター付きのオフィスチェアや、事務用の回転イスも「一脚」と数えます。
オフィスチェアは、脚が5本に分かれていたり、キャスターが付いていたりと独特の形をしていますが、
家具としては「イス」と同じカテゴリに入るため、「脚」が使われます。
例:
- 新しいオフィスチェアを十脚導入しました。
- 来客用のイスを二脚、応接室に増やしました。
企業の備品一覧などでは「椅子 ○脚」と表記されることも多く、
事務用・会議用のイスもまとめて「脚」で数えると考えておくとスッキリします。
座椅子・ソファ|「台」で数える理由と使い方
床に直接置いて使う座椅子や、リクライニング機能付きの座椅子、
複数人が座れるソファの場合は、「一台」と数えることがよくあります。
例:
- リビングにソファを一台置いています。
- 座椅子を二台買い足しました。
座椅子は、脚がないものや、イスというより背もたれ付きクッションに近いものもあります。
そのため、一般的なイスと区別して「台」で数える言い方が定着しています。
ただし、座面に脚が付いたソファチェアなど、イスに近い形のものは「脚」と数えることもあり、
商品説明によって表現が分かれることもあります。
ブログや文章で迷ったときは、メーカーや販売サイトの表記に合わせると安心です。
カウンターチェア|高さがあるイスはどう数える?
キッチンカウンターやバーなどで見かけるカウンターチェアも、基本的には「脚」で数えます。
- カウンターチェアを三脚並べています。
- ハイチェアを二脚追加しました。
見た目はスツールに近い場合もありますが、
座るためのイスとして使われるものなので、「脚」と考えて問題ありません。
子ども用チェア・ベビーチェアの数え方
子ども用のダイニングチェア、ハイチェア、ベビーチェアなども、基本的には「一脚、二脚」と数えます。
ただし、チャイルドシートやバウンサー、ベビーベッドのようなものになると、
イスというより「育児用品」や「器具」として扱われるため、「台」で数えられることも多いです。
例:
- 子ども用のイスを一脚買いました。
- バウンサーを一台レンタルしました。
「椅子」という名前が付いているかどうかを目安にすると、数え方を選びやすくなります。
アウトドアチェア|キャンプ用品の数え方のコツ
キャンプやピクニックで使うアウトドアチェア・折りたたみチェアも、基本は「脚」です。
- キャンプ用のチェアを四脚持っていきます。
- 予備のアウトドアチェアを二脚車に積んでおきます。
ただし、キャンプ用品として一式をまとめて数えるときには、
「アウトドアチェア一台」などと数える表現が使われることもあります。
ブログやレビュー記事では、一般的な説明では「脚」、商品名に添えるときはメーカー表記に合わせると自然です。
シーン別|場所によって数え方はどう変わる?
イスは、同じものでも「どこで・どういう立場で」数えるかによって表現が変わることがあります。
ここでは、家具店・飲食店・学校・ビジネスなど、シーン別に整理してみましょう。
家具店・通販サイトでよく見る「点」という表現の意味
家具店や通販サイトでは、イスを「一点」「全〇〇点」のように数えることがあります。
これは、イスそのものというより、「商品としての点数」を数えているイメージです。
例:
- こちらの商品はイスとテーブルの2点セットです。
- ダイニングチェア4点をまとめてお届けします。
このような場合、
「イス四脚」ではなく「4点」としているのは、商品セットとしてまとめてカウントしているからです。
カタログやECサイトならではの表現だと考えておくとわかりやすいです。
レストラン・カフェでは「席」で数える理由
レストランやカフェでは、「イス」よりも「席」という表現がよく使われます。
- 当店は全40席です。
- テラス席は10席ご用意しております。
ここで数えているのは、家具としてのイスではなく、「お客様が座ることができる場所」です。
ベンチやソファ席であっても、「1席に何人座れるか」は別として、「席の数」で表現するのが一般的です。
予約の電話でも、
- 「2名で予約したいです。」
- 「4名ですが、席は空いていますか?」
といったように、「席」という言葉を使うのが自然です。
飲食店=席数で考えると覚えておくと、会話でも戸惑いにくくなります。
学校・会議・イベント会場|イスの数え方が場面で変わる理由
学校や会議室、イベント会場などでは、
「イスそのものを数える場面」と「座席数として数える場面」の両方があります。
- 入学式でパイプ椅子を100脚並べる。
- 会場は100席あります。
前者は備品としてのイスを数えているので「脚」、
後者は入れる人数=座席数を数えているので「席」となります。
保護者向けの案内文や、学校だよりなどを書くときには、
「どちらの意味で伝えたいのか」を意識して助数詞を選ぶと、誤解が少なくなります。
在庫管理や発注ではどう数える?業務シーンのポイント
会社や店舗でイスの在庫を管理したり、備品を注文したりするときには、
「脚」と「台」を使うのが一般的です。
- 会議用のイスを20脚追加で発注してください。
- ロビーのソファを2台入れ替えます。
在庫リストなどでは、
- 椅子:30脚
- ソファ:3台
のように表記しておくと、誰が見てもイメージしやすい書き方になります。
言葉選びで印象が変わる?ビジネスメールでの表現例
取引先やお客様に送るメールなどでは、
カジュアルな「個」よりも、「脚」「台」「席」を使う方が丁寧で落ち着いた印象になります。
例えば、次のような表現が考えられます。
- 会議室にはイスを20脚ご用意しております。
- ホールは100席までご案内可能です。
- ロビーにはソファを2台設置しております。
同じ内容でも、「イスを20個用意します」と書くより、
「脚」や「席」を使った方が、きちんとした印象になります。
ビジネスの場面では、「個」は避けると覚えておくと安心です。
イスの数え方をもっと楽しく学べる工夫
助数詞は「覚えなきゃ」と思うと、少し苦手意識が出てしまいがちです。
でも、暮らしの中で少しずつ意識していくと、自然と身についていく楽しい日本語の一部でもあります。
助数詞とは?身近な例で覚えやすく解説
助数詞(じょすうし)とは、ものの数を数えるときに後ろに付ける「ひとかたまりの言葉」のことです。
イスの「脚」のように、数えられるものによって言い方が変わるのが特徴です。
身近な例を挙げると、次のようなものがあります。
- 本 → 一冊、二冊
- 傘 → 一本、二本
- コップ → 一個、二個
- 猫 → 一匹、二匹
- マンション → 一棟、二棟
イスの場合は、これらと同じように「脚」「台」「席」「点」などを使い分けている、というイメージです。
間違いやすい数え方の例:イスと混同されやすいものたち
イスの数え方を考えるときに、ほかの家具や雑貨と混ざってしまうこともあります。
よくある例をいくつか挙げておきます。
- テーブル・机 → 一台、二台
- クッション → 一個、二個(セットなら「一組」と数える場合も)
- ラグ・マット → 一枚、二枚
- 観葉植物 → 一本、二本/一鉢、二鉢(どちらの見方をするかで変わる)
「イスも家具だから台でいいのかな?」と思ってしまいがちですが、
イスは「脚」、ソファや座椅子は「台」、テーブルは「台」と区別しておくと、混乱しにくくなります。
子どもと一緒に楽しめる「数え方クイズ」アイデア
イスの数え方をきっかけに、
家の中のいろいろなものを数えて遊んでみるのもおすすめです。
例えば、こんなクイズができます。
- ダイニングテーブルのイスは何脚あるかな?
- ソファは何台?
- クッションは何個?
- 本は何冊?
親子で答えを考えながら、「どうしてその言い方をするのか」を話してみると、
自然と助数詞の感覚が身についていきます。
普段の生活で自然と覚えられる練習方法
無理に暗記しなくても、日常生活のなかで、ちょっとだけ意識して言葉を選ぶだけで、
イスの数え方や助数詞はどんどん身についていきます。
例えば、
- メモや買い物リストを書くときに、「イス4脚」「ソファ1台」と書いてみる
- ネットショップの商品説明を読むとき、「どう数えているか」に注目してみる
- お店や施設で「全〇席」「〇点セット」などの表現を探してみる
といった小さな意識だけでも、
「あ、ここではこう数えるんだ」という気付きが増えていきます。
何度か目にするうちに、自然と自分の文章や会話にも活かせるようになっていきます。
まとめ|イスの数え方を覚えると毎日の日本語がもっと楽しくなる
イスの数え方は、一見むずかしそうに見えますが、
基本は「脚」、場合によって「台・席・点」を使い分けるというシンプルな考え方で整理できます。
- 家具としてのイス → 基本は「一脚、二脚」
- ソファや座椅子など → 「一台、二台」がよく使われる
- お店やレストランで座る場所 → 「席」で数える
- 商品として数えるとき → 「点」と表現されることが多い
「絶対にこうでなければいけない」というきびしいルールではなく、
場面やイメージに合わせて、より自然な言い方を選んでいくのが日本語の面白いところです。
イスの数え方をきっかけに、本や動物、家電、洋服など、
ほかの助数詞にも目を向けてみると、日本語の奥深さや楽しさを改めて感じられるはずです。
「この場合はどう数えるんだろう?」と気になったときは、
またゆっくり調べたり、辞書を引いてみたりしながら、少しずつ自分のペースで覚えていきましょう。
毎日の暮らしのなかで、ことばへの小さな興味を大切にしていけたら素敵ですね。
